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ヴァンパイアの契約(1) 死を招く提案 (YA!ENTERTAINMENT)

ヴァンパイアの契約(1) 死を招く提案 (YA!ENTERTAINMENT)
● レビュアー:nosuku

ヴァンパイアの契約(1) 死を招く提案 (YA!ENTERTAINMENT)クーニー, B.C., 神戸 万知
¥ 950 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:278922

Category:小説
クリック数:34 - 評価:0 - コメント:0
アルーシアは大人しく、目立たない少女。
学校では孤独を抱え、学校の人気者である、華やかなチアリーダーに憧れている。
古い屋敷の塔に住まう、ヴァンパイアと契約し、ヴァンパイアの力で学校の人気者になるが、その見返りに、友達をヴァンパイアの元へ導き、差し出さねばならない……。

私自身は十代の頃、クラスの人気者の経験もないですし、独りでいることがここまで苦にならなかったので、アルーシアの人気者になるという願いは、ヴァンパイアに人を差し出すほど切実なんだろうか…と思いつつ、読みましたが……。
実際に読んでみますと、目立たず友達のいないアルーシアの孤独も、ちやほやされる学校の人気者に嫉妬する気持ちも、更には、ヴァンパイアによって人気者になった時の心躍る状況も、描写が丁寧で、感情移入できました。
人気の為に友達をヴァンパイアに差し出す際の葛藤も描かれ、彼女の心を弄ぶ、ヴァンパイアの甘い声の誘惑が、これまたお見事です。

それにしても、ヴァンパイアの声の描写がすごくバライティーに富んでいます。

色あせて少し破れている古いシルクのような声
サテンのようにつかみどころのない声
クモの巣のように細く粘っこい声
香水のような喜びの響きを含む声
ゆっくりと地面に舞い落ちるティッシュペーパーのような声
クッキー生地のようにやわらかい声
枯れ葉が道路をこするような笑い声
……………

ヴァンパイアの、他の部分の描写は影の様でおんぼらとしているのですが、声の印象だけは強いのが返って不気味でいいですね。
このヴァンパイア、名前すらわからないですし。
あ、でも、ロックのようなうるさい音楽が苦手、というところだけはちょっと可愛かったかな…。

ヴァンパイアが、人間を襲うとき、「渡る」という言葉を使うのが、あまりなくて、面白いです。
言葉自体は平和的なので、アルーシアが友達をヴァンパイアに差し出しても、一瞬、そう酷い事ではないような錯覚をもたせる…というところがいいですね…。

巻数は1巻となっていますが、この本だけでお話の区切りがついていて、ちょっとほっとしました。
こんな心臓に悪い状況で、お話がダラダラと続いていったんじゃ、ちょっとたまりませんから…。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/04/23

百日紅 (上) (ちくま文庫)

百日紅 (上) (ちくま文庫)
● レビュアー:nosuku

百日紅 (上) (ちくま文庫)杉浦 日向子
¥ 714 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:33746

Category:青年コミック
クリック数:60 - 評価:0 - コメント:0
江戸時代、葛飾北斎と、その周辺の人々が織り成す日常を描いた短編集です。
江戸の日常をこまごまと描写しつつ、人情話があったり、妖怪や幽霊などの不思議な要素も時々入っています。
一話一話に味わいがあって、読み進めていくと、じわりじわりとはまります…。

登場人物は、葛飾北斎を中心に、北斎といっしょに暮らし絵筆もとる娘のお英、女好きでまだ無名の弟子の善次郎(後の英泉)、色っぽい女弟子の北明、歌川派なのに北斎に私淑する男っぷりのいい国直……。
17歳で将来有望そうな、いい顔をしている国芳も出てきます。

葛飾北斎…。無精ひげをはやしたジイさんで、美術史に名を残すえらい画家なのに貧乏そうで、小汚い部屋に住んでいて、飄々としていて、したたかで、あちこちのセリフが粋で格好いいです。
とはいえ、セリフを日常生活でマネしようと思っても、なかなかマネできないですけど…。
近所の人が亡くなって……
善次郎「……あっと角の経師屋の爺ィ今朝方くたばったとさ!」
北斎「正月そうそうめでてえ奴だ」
……これとかすごいや(笑)。

浮世絵師のお話なので、読み終わると、浮世絵の画集を見てみたくなります。
当時の浮世絵の絵も載っていますが、漫画的に、面白いなと思う構図のコマも多いです。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/04/10

ルーンの子供たち 1 冬の剣

ルーンの子供たち 1 冬の剣
● レビュアー:nosuku

ルーンの子供たち 1 冬の剣ジョン・ミンヒ, 中川 悠京, 酒井 君二
¥ 1,995 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:8253

Category:小説 (ゲーム系)
クリック数:99 - 評価:0 - コメント:0
韓国作家によるファンタジー作品。

主人公のボリスは、貴族の次男として生まれるも、幼くして闘争に巻き込まれ、帰る家を失い、兄とたった二人で、彷徨うことになります。
二人の手にあるのは、家宝である「ウィンタラー」という名の魔剣と、「スノーガード」という名の鎧、ふたつ合わせて、通称「ウィンターボトムキット」と呼ばれる最強の武具…。
だが、これを狙って、様々な魔手が二人に襲い掛かります。
そして、自分を守ってくれていた兄との別れがあり、ボリスは魔剣「ウィンタラー」のみを手に、世界に放り出されます…。
暗闇に吹雪の中でひとり、の印象です。

サブタイトルに「冬の剣」とあるように、お話全体に、冬の凍てつく空気が流れているようです…。
なにせ、話のスタート時のボリスは、ほんの幼い少年なので、いくらウィンタラーが最強の魔剣でも、使えないのです。
まわりは試練だらけなのに、主人公の成長のスピードが、もどかしくてならないのなんの…。
表紙の色からして暗いですしね…。

もっとも、1巻が一番暗くて、2、3巻と読み進めていくと、彼の人生も思わぬ方向に行ったりします。
そして、だんだんボリスが成長し、1巻で起こったもろもろに、自らの手で決着をつけるほどに成長した3巻は、もう圧巻です。

「テイルズウィーバー」というネットゲームの小説でもあるそうですが、私はそれを知らずに読みましたが、ゲームをご存知の方は、「ゲームで見たあのキャラが出てきた!!」という、楽しみ方があるようです。
小説の、その後の主人公の行く末が気になるのですが、続きも出していただきたいです。「続きが気になる人はゲームをしてね」、とかだったら、残念ですね…(^_^;)

あと、残念なのは、載っているその世界の地図が、みにくい事かな…。地名が英語で書いてあると、ちょっと読みにくい…。
ファンタジー物は、地図がわかりやすい絵で載っている方が、イメージしやすくていいですね…。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/04/04

緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)

緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)
● レビュアー:nosuku

緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫)塩野 七生
¥ 630 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:41589

Category:小説 (歴史・時代)
クリック数:70 - 評価:0 - コメント:0
16世紀のイタリア。ヴェネツィア。
名家ダンドロ家の当主のマルコ・ダンドロは、ヴェネツィアの大貴族で、国政に関わる身。
マルコは、10年ぶりに幼馴染で親友だったアルヴィーゼ・グリッティと再会する。
アルヴィーゼは、大貴族のヴェネツィア元首の息子として生まれながらも、庶子だというだけで貴族になれず、政治に関われず、愛する女性とも結ばれず、「平民」「私生児」として、軽んじられる身分だった。
普通の私生児は、自分の身分に応じて生きるのだが、アルヴィーゼは、母の国とかかわりのあるトルコ(当時のスルタンは、若きスレイマン)で、己の野心を満たそうとしていた…。

自分の生まれにやりきれない思いを抱き、身分を越えた野心を持ってしまった男の生き様が、せつないです…。

ヴェネツィアとトルコが主な舞台なのですが、トルコの風習も変わっていて、宰相イブラヒムは、奴隷出身のギリシア人。
ヴェネツィアでは、元首の妾腹の息子の身分が平民なのに、トルコは一夫多妻制なので、庶子だということで差別される事はないし、かつ、才覚があれば奴隷でも宰相になれるのです……スゴイものです。
でも、トルコ…。国王が即位するさいに、争いが起きないように、弟は全員殺されてしまう、というのは、すさまじい風習です…。
まったく、生まれる場所と身分によって、さまざまな悲喜劇があるものです…。

サブタイトルがもろに「殺人事件」となってますが、あまりミステリーっぽくないです(ちなみに、当初は、サブタイトルがタイトルになっていたらしく、図書館にあった単行本は、ずばり「聖マルコ殺人事件」のタイトルでした)。
最初に、ヴェネツィアの聖マルコの鐘楼から人が落下する事件が起きますが、自殺とされて、物語の半分過ぎても犯人探しが行われている形跡がなく、ヴェネツィアをとりまく国際陰謀劇を背景とするアルヴィーゼとマルコの物語がメインです。
もっとも、ラストまで読めば、タイトルの「殺人事件」の意味もわかりますが…。

ちなみに、マルコもアルヴィーゼも、ヴェネツィアにかかわりの深い名前だそうです。
マルコは、ヴェネツィアの守護聖人・聖マルコに由来していて、また、アルヴィーゼは、同じ名前がイタリアの他の地方では、ルイジ(少しあらたまるとルドヴィーコ)と発音するので、ヴェネツィア限定の名前になるとのことで。
ヴェネツィアらしい名前を持つ二人が、マルコは名家の嫡子ゆえに政治の中枢に関わる大貴族で、一方のアルヴィーゼは元首の息子にして「平民」…。
なんともやりきれないですね…。

また、こちらの作品は、マルコ・ダンドロと遊女オリンピアの登場する3部作の最初のひとつになっています。
「銀のフィレンツェ」「黄金のローマ」と続きます。それぞれの都市の個性の良く出た作品です。
でも、この本が一番面白かったかな…。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/18

[テメレア戦記] I 気高き王家の翼

[テメレア戦記] I 気高き王家の翼
● レビュアー:nosuku

[テメレア戦記] I 気高き王家の翼ナオミ・ノヴィク, 那波かおり
 - 
セールスランク:97989

Category:小説 (ファンタジー)
クリック数:149 - 評価:0 - コメント:0
19世紀初め、ナポレオン時代のヨーロッパ。
現実世界と違うのは、この小説の世界には「ドラゴン」がいて、各国に「空軍」があること…。
歴史戦記ファンタジーです。

イギリスの海軍将校ウィリアム(ウィル)・ローレンスは、フランスの軍艦と戦闘を交え、戦利品としてドラゴンの卵を得るが、卵からかえったドラゴンになつかれてしまい、「ドラゴンの担い手」として、海軍から、空軍に転属することに…。

この、卵からかえったドラゴンのテメレアが、もう、ものすごく可愛いのですよ…!!
ドラゴンの担い手になると、生活のすべてがドラゴンの世話にかかりきりになるので、家庭も持てない人生が始まります。
ローレンスの場合は、やむをえない状況でテメレアの担い手になり、海軍でのキャリアをみんな捨てて、しぶしぶ空軍転属になったのですが、テメレアの世話をする内に、だんだん愛情と友情を感じるようになり、お互いが、唯一無二の相棒になっていきます。
ローレンスがテメレアにペンダントをプレゼントしたり(テメレア大喜び)、テメレアにせがまれて本を読んであげるシーンになごみます…。

そして、テメレアと共に、空軍で訓練を受け、フランスのナポレオンとの戦争に加わるようになります。

でも、この戦争の描写も、面白かったのですよ…!!
空飛ぶ巨大なドラゴン1体に、担い手がキャプテンとして指揮をとり、何人もの乗組員がチームとして乗り込んで、ドラゴン同士で空中戦をするのですが、これが、実際の歴史上の軍艦同士の海戦を思わせて、戦闘の描写が細かく、読み応えがありました。
ファンタジーでも、ここまで書き込むと、ものすごいリアリティーがあります。歴史小説の戦争描写のような貫禄があります。
空軍での、人間関係(ドラゴン関係?)のドラマも面白いなあ…。

オビには、映画化がどうこう……とか、派手な文句が書いてありますが、オビの派手さに裏切られる事はありません。
はっきり言いまして、めちゃめちゃ面白かったです!!
ファンタジーといっても、児童向けでなくて、歴史や戦闘描写が本格的だから、大人向けかな…?
主人公は30歳くらいですし。

続きが早く読みたいなあ…。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/17

トンネル 上

トンネル 上
● レビュアー:nosuku

トンネル 上ロデリック・ゴードン, ブライアン・ウィリアムズ, 堀江 里美, 田内 志文
¥ 1,575 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:86551

Category:小説 (ファンタジー)
クリック数:72 - 評価:0 - コメント:0
白い髪と薄い青い目の14歳の少年ウィルは、発掘が趣味。
同じく発掘好きの父とともに、シャベルを持ち、トンネルを掘り進める毎日。
ところがある日突然、父親が姿を消し、ウィルは父の失踪の手がかりを探して、親友のチェスターと共に、ふさがれたトンネルを掘りなおす。
その先には、思いもよらない、地下世界が広がっていた…。

一見、地底旅行とか地底人とか、昔懐かしの冒険小説のようなのですが、わくわくの冒険というよりも、ダークでスリル満点の世界が広がっています。
しかも、全くの別世界というならともかく、実は、主人公たちの知らない形で、地上の現実世界ともつながりがあって、主人公の周辺の平穏な生活に侵食してるのが、けっこう怖いところです。
しかも、描写のあちこちが、ちょっときつめです。
回想シーンで、主人公が、いじめられて発掘用シャベルでいじめっ子たちの鼻の骨を折ったとか、さりげなく書いてありますが、きついですよ…。
地下で捕まった時も、拷問まがいの取調べだの、監禁だの…。
あるキャラの正体には、もうびっくり仰天で、こたえました…。
下巻はかなりのジェットコースターです。もう、一気読みです。

ただし、お話が気になる所で終わります…(苦笑)。
本には、「1巻」とも書いてないですし、後書きもないので続きが出る、とも書いてないですので、てっきりお話が一区切りつくものかと思って読んでいたので、ちょっとしっくりいきません。
300ページほどの本が上下巻2冊なのですが、これくらいの薄さなら、一冊で出してもいいような…。

現時点で、ミクシィでのレビューの評価がものすごく低くて驚いたのですが(アマゾンの方はそうでもないですけど)、売り文句がでっかくて、「ハリー・ポッターの後継者」、という売り方をしているためか、ハリー・ポッターと比べて期待して読んでしまうと、やはり、物足りなく感じるのでしょうか…。
でも、そもそもハリポタとは、全然個性が異なる作品だと思います。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/17

ハピネス

ハピネス
● レビュアー:nosuku

ハピネス嶽本 野ばら
¥ 1,365 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:116106

Category:小説
クリック数:65 - 評価:0 - コメント:0
「私ね、後、一週間で死んじゃうの」
心臓が悪く、余命いくばくもない彼女と過ごす、高校2年生の「僕」と彼女の最後の数日間。

余命が数日ゆえに、自分らしく過ごそうとする彼女。
彼女の望みは、今まで勇気がなくてできなかったロリータファッションに挑戦して、好きなブランド:イノセントワールドの大阪本店に行くこと、銀座の資生堂パーラーで1万円もする「伊勢海老とアワビのスペシャルカレーライス」を食べること、「僕」の家に外泊すること。
あと数日で死ぬのに、日常の延長にあるような、ささやかな望み。
「僕」は、自分の弱さに揺らぎながらも、彼女の最後の日々を支えようとします。

それにしても、「僕」の視点から見た、彼女がいとおしいのですよ…。
死ぬのはありきたりなこと。1年で、120人に一人の割合で死んでいる。宝くじで、5等の3000円が当たるのと、同じ確率だという彼女…。
「僕」は、何気ない彼女のセリフや行動を、これから先、何度も何度も、ふっと思い出すんでしょうね…。
あと、最後の方の、彼女のお父さんの行動がよかったかな…。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/12

モンスターズ・イン・パラダイス 3 (3) (新書館ウィングス文庫 125)

モンスターズ・イン・パラダイス 3 (3) (新書館ウィングス文庫 125)
● レビュアー:nosuku

モンスターズ・イン・パラダイス 3 (3) (新書館ウィングス文庫 125)縞田 理理
¥ 672 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:181013

Category:小説 (ファンタジー)
クリック数:84 - 評価:0 - コメント:0
人間の新米捜査官ジョエルと、吸血鬼の捜査官カートのコンビの物語。
舞台は、1920年代アメリカ風の架空の大都市、人間とモンスター(神話的人類)の共存するブルームフィールド市…。

前巻で、傷つき、辞表を書いて、姿を消してしまったカート。
相棒のジョエルは、カートの行方を捜し、カートの実家に向かいます。
カートとジョエルは、コンビ解消の危機を乗り越えられるのでしょうか…。

人間と吸血鬼という種族の違う捜査官コンビの成長と、人間とモンスターの共存する社会のドラマを描いてきた作品ですが、今回は、3巻にして、すべての謎に決着をつける最終巻です。
カートの生い立ち、両親、神と自称する謎の人物エルモーライの正体など……。
今まで気になっていた部分が次々とあきらかとなり、世界全体を巻き込んだ、大きな盛り上がりを見せます。

吸血鬼であるカートの家族があきらかになりますので、吸血鬼キャラがたくさん出てきます。
カートのパパ……。
最終巻であるこの巻で出てくるものと期待していたので、あれこれ想像していたのですが、色々と、気持ちよく意表をついてくれました。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/11

永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢

永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢
● レビュアー:nosuku

永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢重松 清
¥ 1,680 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:10314

Category:小説 (ゲーム系)
クリック数:96 - 評価:0 - コメント:0
決して老いず、決して死なない。
1000年もの歳月を、傭兵として、帰る場所もなく彷徨う男・カイムが、いつかどこかで出会った人々の、31のお話からなる短編集。
1千年を生きることの哀しみが感じられるもの、というのがテーマだそうです。

村を出てどこかに行きたいと願う若者。
幸せな島で美しい光の雨を見る少年。
死者の死に顔を描く遺影画家。
故郷に帰ってきた英雄。
戦場でおびえる兵士。
短命の人々の村。
挽歌の響く島。
死に行く者。
生まれる者。

なぜ、彼が死なず老いず1000年も生きるのかはわからないですし、年月が長すぎて、出来事が起こりすぎて、本人も、いつどこで出会った出来事か、思い出すのもおぼろげになっているという事も、きっとあるんでしょう…。
果てしない年月の重みや、死ねない者の哀しみが、ちょっとした会話にもにじみでていて巧い…。
一言で「永遠の孤独」と言っても、それを実際に描いてみせる、というのは、もう、お見事ですね…。
カイムが長い歳月を生きている強い男であるのは間違いないのですが、それでも、弱者や若者から気づかされることもある…というのも好きかも。

前書きによりますと、ゲームが元になった小説だそうです。
私はゲームをスーパーファミコン時代以来、10数年もしていないので、ゲームの内容は知らないのですが、知らなくても楽しめました。
ゲームをされた方が読んだら、より一層、楽しめるかもしれません。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/07

変身

変身
● レビュアー:nosuku

変身嶽本 野ばら
¥ 1,470 - 通常24時間以内に発送
セールスランク:173399

Category:小説
クリック数:66 - 評価:0 - コメント:0
不細工な少女漫画家志望の30歳「星沢皇児」は、ある朝起きると、ものすごい美青年になっていた…。
それまで彼は、路上で売れない自作の漫画本を並べていて、ファンといえば、おかしな時代劇言葉でしゃべる、彼に匹敵するほどの不細工な「ゲロ子」ただ一人…。
ところが、美形になったとたん、持込をしていた雑誌に漫画連載が決まってしまう。しかも、漫画なのに作者のでっかい顔写真つき。
彼の漫画はそっちのけで、ルックスばかりを見る世間。
人気が出て行く上で、編集側とのかねあいで、己の信念を曲げなければならなかったりします…。
また、美形になっても、彼自身の美意識がぶっ飛んでいるために、女性には「ダサい」「キモい」「ウザい」「重い」とさんざん言われて、女の人にはもてない…。
何ともせつないですが、ラストはちょっと良かったです。
てっきり、たった一人のファンである「ゲロ子」さんとラブラブになるのかと思っていましたが、単純にそうじゃないところがいい(笑)。このラストは好きかも。

文体がユーモラスで、全編笑えますが、それでも、バイロンの詩を引用したり、洋服の描写(今回の作品ではコムデギャルソンがよく出てきます)やバラの種類にこだわったり、という所は、さすがでございます…。
とりわけ、としまえんのカルーセル「エルドラド」(カルーセルはドイツ語で、英語のメリーゴーランド)の描写が素敵です。
このカルーセルが、主人公の描くベタベタの少女漫画や、物語全体のよい小道具になっているのですが、1907年(100年前!)にドイツで作られた、豪華な美しいカルーセル…。
文章を追いつつ、実物を見てみたいと思ってしまいましたよ…(早速グーグルで「カルーセルエルドラド」と検索して画像を見ました。ネットって便利…)。

色々な豆知識がたくさんで、そのあたりも楽しめました。
今回、主人公が漫画家だから、漫画の描き方などの描写も細かいですし。
アニメ「サザエさん」の、三河屋さん、タラちゃんの友達のリカちゃん、マスオさんの同僚の穴子さん、カツオの友達の中島くん、カオリちゃん、花沢さん、が、原作に登場しないキャラだなんて、知りませんでしたよ…!!家に「サザエさん」の四コマの原作本が何冊かありますけど、気がつかなかった…。

それにしても、野ばらさんの作品を読んでいて、主人公が男の人のものは、なぜか作者ご本人の顔が浮かんでしまうのは、私だけでしょうか…(^_^;)
「ロリヰタ。」や「シシリエンヌ」など、主人公が作家という、作者と似た設定の主人公だと、余計に…。
自分のイメージで読みたいと思いつつ…。
レビュアー:nosuku|投稿日:2008/03/06

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